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【おすすめ熱帯魚(淡水魚)水槽セット】初心者のアクアリウム立ち上げと飼育法|飼いやすい種類をご紹介

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水族館で飼育研究員・博物館学芸員をする筆者が、初心者むけの熱帯魚の種類、おすすめ水槽セット、飼育用品などをプロの立場からまとめました。

グッピーやネオンテトラといったスタンダードなものから、コリドラスなどのちょっとマニアックなものまで、その適切な飼育用品とともにご紹介します。



■初心者の熱帯魚飼育におすすめの水槽セット

まず、最初に必要になってくるのが水槽です。最近は30cmや45cmのインテリア性の高い水槽がブームですが、「熱帯魚を飼育する楽しみ」という原点を考えた場合、ある程度の匹数が飼育できる60cmクラスの水槽を最低ラインとしてスタートすれば、後々後悔しないと思います。

●気軽に始める上部ろ過槽つきオールインワン60cm水槽



おすすめはこちらのようなセットです。ブランド品のコトブキ製水槽にLED照明と上部ろ過槽がセットになったタイプでリーズナブルです。上部ろ過槽は水槽上部に設置するタイプの重力式濾過槽で、定期的にろ材を洗うだけと、メンテナンスが簡単なのも初心者むけです。
また、水槽用の照明はLEDライトの一択になります。旧型の蛍光灯式水槽照明は、熱を持ってしまい、温度上昇を避けたい夏季に水槽の水温を上昇させてしまいます。

水槽本体・上部ろ過槽・LEDライトに加え、専用ガラスフタ・飼育の手引き・水温計・ヒーター・バックスクリーンもセットになった豪華な計8点セットになっており、初めて熱帯魚水槽を立ち上げる初心者の方に最適です。

●水草も楽しむなら外部式パワーフィルター



熱帯魚だけでなく水草も……という人にはこちらのパワーフィルターセットがおすすめです。上部ろ過だと水がジャバジャバなりすぎて、水草の育成に必要な水中の二酸化炭素がにげてしまうのですが、その点、パワーフィルターだと水の動きが緩やかなので、その心配がありません。

それでは、次の項目からは熱帯魚飼育に必要な水槽セット・用品について、さらに詳しく個別に解説していきます。

■熱帯魚飼育の水槽セット・用品解説

●水槽にはアクリルとガラスの二種類の材質がある




まず水槽の材質には、アクリルとガラスの二種類があり、それぞれの長所・短所は以下の通りです。

○アクリル水槽の特徴

軽くて扱いやすく割れないという長所がある反面、水圧により本体が膨らみ湾曲するため、熱帯魚が歪んで見える短所があります。また、ガラスより柔らかいため、傷がつきやすいのも難点です。

小さなお子様のいる家庭には、割れない安全性が高くおすすめです。

○ガラス水槽の特徴

傷がつきにくく、また歪みなく熱帯魚を観賞でき、インテリアとしての質感が高いのが長所ですが、物を当てたりぶつかったりすると割れるリスクがあります。

小さなお子様のいない、安全性を確保できる環境であれば、断然ガラス水槽がおすすめです。

●水槽には30cm・45cm・60cm・90cmの規格サイズがある


水槽には30cm・45cm・60cm・90cmの規格サイズがあります。それぞれの適切な使用用途は以下の通りです。

○30cm水槽:グッピーの繁殖用など個別飼育に使用するサイズで、メイン水槽としては水量不足になりますので、サブタンクとしての位置付けです。初心者の方にとっては、二本目に入手する水槽と言えるでしょう。

○45cm水槽:メイン水槽としては、やや水量不足ですが、設置スペースのあまりない場合にはおすすめです。

○60cm水槽:水量・スペースのかねあいから、初心者の方がはじめて入手する水槽として最適なサイズです。スペース的な制約がなければ、このサイズで決めましょう。

○90cm水槽:水量・スペースともにかなり大きく、初心者の方には手に余るサイズと言えるでしょう。

●おすすめの60cm水槽

筆者が実際に日々の仕事でも使用している、おすすめの60cm水槽を、アクリル水槽・ガラス水槽からそれぞれ一択でご紹介します。



ガラス水槽のなかでもおすすめなのが、こちらのように前面の角が曲面仕上げ(R加工)されたもので、インテリア性も格段に向上します。



アクリル水槽は厚さが3mmタイプのリーズナブルなものもありますが、実際に水を張ると目に見えて湾曲してしまいます。割高にはなりますが、やはり、こちらのような4mm厚の作りのしっかりしたものをおすすめします。

●熱帯魚飼育に不可欠なろ過槽の作用と種類




熱帯魚を飼育するためには、常に飼育水を浄化し続けるろ過槽が必要となります。

ろ過槽の作用には主に二つがあり、一つは物理ろ過、もう一つが生物ろ過です。

物理ろ過は、ろ過槽に設置されたフィルターや砂などに飼育水を通すことにより、汚れ粒子を物理的に引っかけて濾しとるろ過作用です。

ろ過槽のフィルターや砂には硝化バクテリアと呼ばれる微生物が繁殖しており、このバクテリアが魚が排泄するアンモニアを亜硝酸に、亜硝酸を硝酸塩にと二段階に分解し、熱帯魚に有害な成分を無毒化します。

この過程を生物ろ過と言い、目に見えないものですが熱帯魚の飼育水を良好に保つためには、なくてはならないろ過作用です。

●ろ過槽には主に三種類のタイプがある


ろ過槽には主に、投げ込みエアー式・上部ろ過槽・外部フィルターの三種類があり、それぞれの特徴は以下の通りです。

・エアーフィルター



もっともシンプルな水槽セット・システムでトラブルが少なく扱いやすい反面、ろ過能力は低めで週一回頻度の水換えとフィルター掃除が必要です。水草には不向きです。



水作エイトは水族館の予備水槽などでも使われる、とても実績のあるロングセラーの投げ込み式エアーリフトフィルターです。

・上部フィルター



もっとも一般的な家庭用水槽セット・システムでメンテナンスが簡単で、フィルター掃除や水換えも月に一回頻度でかまいません。水草には不向きです。



こちらの上部式フィルターは、ポンプで水を汲み上げ、ろ過フィルターやろ過砂を通して飼育水を浄化するスタンダードなシステムで、家庭用水槽としてはもっとも一般的な方式です。

・外部フィルター

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もっとも高性能な家庭用水槽セット・システムで水換えは月に一回、フィルター掃除は年数回でかまいません。水草を楽しむなら必須のシステムです。



エーハイムフィルターは、水槽とは別に密閉式のタンクにポンプで水を通し、圧力をかけながら飼育水を浄化するシステムで、家庭用のろ過槽としてはもっとも高性能なタイプです。

水族館の予備水槽などでも外部式フィルターは多用しますが、やはりエーハイムのクラシックタイプがトラブルレスで圧倒的に信頼感があります。

●水草専用のライトを使う



熱帯魚だけでなく、水草育成も楽しみたい場合、水槽照明は植物育成用に作られたこちらのようなライトがおすすめです。普通の照明だと、コケばかり増えて水草が育たない……なんてことになりかねません。ライト自体の光の波長も、水草に最適なタイプに調整されています。

●サーモとヒーターは分離型を選ぶ

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熱帯魚なので、当然水を温めなくてはいけません。

ヒーターとしてあまりおすすめできないのが、安価なサーモ・ヒーター一体型です。繊細なサーモセンサーが防水されているとは言え水中にありますので、一年も経たずに壊れることもあります。いつか壊れて大切な熱帯魚を「煮魚」にするかも知れません。

一番安心なのが老舗ニッソーのこのタイプです。何十年も売れ続けるのはユーザーの信頼の証ですね。なお、ヒーターは60cmにはやや大きめの200~300ワットがおすすめです。容量的に余裕があった方が長持ちするので、結局リーズナブルですよ。

また、ヒーター切れなどのリスクヘッジをとりたい場合、100Wヒーターを二本併用する方法もありますが、こちらのサーモコントローラーはヒーター接続タップが二股コンセントになっており便利です。

■水質に合わせた熱帯魚の種類選び

●あなたはグッピー派?ネオンテトラ派?



次に熱帯魚の種類選びです。初心者のスタートはネオンテトラかグッピーの二択から一つを選ぶのがおすすめです。まずは、どちらが飼育したいか、直感で選んでいただきたいと思います。これは、前者なら酸性よりの水質、後者ならアルカリ性よりの水質で水槽を作っていくからです。

●グッピーを主体としたアルカリ性水槽



グッピーを選んだ人は色々なカラーのグッピー飼育を目指すのがおすすめです。

グッピーは小型熱帯魚にしては珍しくアルカリ性水質が好みなので、他の熱帯魚と一緒に飼育するのが困難となります。おまけに、ヒラヒラのヒレをかじられるので、基本的にはグッピーだけの多数飼育を楽しんで欲しいと思います。

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グッピー飼育なら底砂は海水魚飼育で使われるサンゴ砂がおすすめです。淡水の飼育水は、放っておくと勝手に酸性になっていくので、サンゴ砂を入れておけばアルカリ性が保たれます。

なお、グッピーの品種は紹介しきれないほど豊富なので、詳しくはリンク先のECショップをご参照いただきたいと思います。

▼さらに詳しい飼い方記事

【グッピーの飼い方】餌などの飼育方法や繁殖方法についてプロの飼育員が解説



グッピーの好むアルカリ性飼育水は、多くの水草にとって不適合な水質ですが、ミクロソリウムなど水生シダ類はアルカリ性でよく育ちます。



水槽には主体となる熱帯魚のほかに、残餌やゴミを食べてくれる掃除屋(スカベンジャー)を同居させるのが、水質を良好に保つポイントです。

グッピーの好むアルカリ性水質に適合するスカベンジャー魚類というのは、実はほとんどいませんが、ビーシュリンプなどの甲殻類系スカベンジャーは飼育することが可能です。

ビーシュリンプは環境さえ合えば、どんどん繁殖するのも楽しいところです。

以下に、グッピーと混泳可能なアルカリ性水質に適合した熱帯魚をカタログ形式でご紹介します。詳しくは各リンク先でご確認ください。



ラスボラヘテロモルファは熱帯アジア原産のコイ科熱帯魚で、弱アルカリ性でも飼育でき、温和で他種のヒレをかじったりしないので、数少ないグッピーとも混泳可能な種類です。

▼さらに詳しい飼い方記事

【ラスボラヘテロモルファの飼い方】餌や混泳・寿命や繁殖について解説



トランスルーセントグラスキャットは、透明な身体が神秘的で人気のナマズの仲間です。弱アルカリ性でも飼育可能で、性質も温和なため、グッピーとの混泳も可能です。

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【トランスルーセントグラスキャットの飼い方】餌・混泳・寿命・白点病について解説

●ネオンテトラを主体とした酸性水槽



ネオンテトラを選んだ方は、多くの熱帯魚・水草が好む酸性水質を作っていくことになりますので、あれこれチャレンジしていただきたいと思います。

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【ネオンテトラの飼い方】初心者向きの飼育方法と餌やりや混泳について解説



酸性水槽の掃除屋(スカベンジャー)として最適なのが、小型ナマズのコリドラスの仲間です。

コリドラスには、それだけで図鑑ができるくらいたくさんの種類がありますが、見た目も可愛らしく、初心者にも飼育しやすい頑強な種類がコリドラスパンダです。

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【コリドラスパンダの飼い方】初心者向き飼育方法・餌や混泳について解説



酸性水槽の大きな楽しみの一つが水草の育成ですが、数多くの種類があり、二酸化炭素注入が必要など初心者の方の手に余る種類も少なくありません。

初心者の方におすすめで、植えておくだけでランナーを出してどんどん増えるのが、バリスネリアの仲間です。まずはここから始めましょう。


水草水槽で特に注意して選定したいのが底砂です。水草の根はアルカリ性やミネラルを嫌いますので、サンゴ砂はもちろん、ケイ素の含まれた砂は避けなくてはいけません。

目安として、白っぽい砂にはケイ素が多いので、大磯砂など黒っぽいものをチョイスするのが無難です。

砂選びに自信がない、という方は上のような水草用の水槽砂をチョイスするのが無難です。



また、水草育成に重宝するのが、水草の葉の表面に生える藻類を食べてくれる魚で、アルジーイーターとオトシンクルスが有名です。

アルジーイーターは大きくなる上、大型個体は餌ばかり食べて、ちっとも藻類を食べなくなるので、オトシンクルスをおすすめします。

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【オトシンクルスの飼い方】コケがなくなった場合の代用餌も解説

以下に、ネオンテトラとの混泳にむき、初心者にも扱いやすい種類を並べて紹介しますので詳細は各リンク先と個別の飼育方法解説記事でご確認ください。



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レッドファントムテトラ 約1.5cm  3匹

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それでは、素晴らしい熱帯魚ライフを!

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■日本産生物の飼い方

●日本産淡水魚・飼育種類図鑑


日本産淡水魚の家庭飼育向きの種類を厳選し解説しているのが下記の記事です。魚類飼育歴20年以上の博物館学芸員が執筆したものです。

日本の淡水魚・飼育種類図鑑|それぞれの特徴と家庭水槽での飼い方(水槽のセット方法)

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カブトムシの飼い方
キンギョの飼い方
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サワガニの飼い方
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コケの育て方
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