【タガメ写真集&飼い方】国内最大の水生昆虫の飼育方法



タガメについて写真集形式で解説するとともに、20年以上、生物学学芸員として博物館施設に勤務し、昆虫が専門分野の一つである筆者が、その飼育方法についてご紹介していきます。



■タガメの特徴

分類:カメムシ目コオイムシ科

学名:Lethocerus deyrollei

分布:北海道を除く日本全土に分布。国外では台湾、朝鮮半島、中国に分布。



タガメは国内で最大の水生昆虫で、田んぼのまわりや細い用水路・湿地に生息していますが、近年では農薬の影響のほか外来生物であるアメリカザリガニとの競合により、その個体数は著しく減少しています。

しかしながら、比較的簡単に飼育下で繁殖させられることから、繁殖ブリードものが季節になると流通しています。

■タガメの飼い方

●共食いを避けるため個別飼育が基本



タガメは肉食性昆虫であり、反射的に動くものを捕食する性質があります。また、その食べ方は、捕まえた獲物に尖った口を突き刺し、消化酵素を注入して溶かして吸いとるという方法です。

このため、反射的に共食いをした直後に個体同士を引き離しても、すでに体内に消化酵素が注入されており、ほぼ助かりません。

ですので、タガメの飼育は基本的に個別飼育となります。しかしながら、タガメは水質にはうるさくなく、飼育水をろ過する必要がないためプラケースなどで手間をかけることなく飼育することが可能です。

なお、タガメは意外に溺れやすい水生昆虫ですので、水深は3cm程度までにとどめ、週に数回ほど小赤やメダカなどの生き餌を与えてください。

また、養殖池から届いたばかりの小赤やメダカには、薬浴剤が残留しており、すぐに与えるとタガメが弱ったり、最悪は死んでしまいますので、必ず数日ほど水槽でおよがせて薬抜きした生き餌を使います。

●タガメの繁殖のさせ方



タガメの繁殖期は7~8月で、成熟したメスはお腹が膨らみ、オスはバナナのような臭いを出しはじめるのがペアリングの目安です。なお、雌雄の見分け方は、腹側にある亜生殖板の先端が凹んでいるのがメス、凸になっているのがオスです。

共食いを避けるため、十分に餌を与えたペアを、産卵場所となる流木(産卵箇所は水面上約20cm)を設置した水槽に同居させます。

タガメの産卵は深夜ですので、うまくいけばペアリング翌朝に卵が産み付けられています。

タガメはオスが卵が孵化するまで世話をする習性がありますので、産卵が終わったらオスが捕食されるのを避けるためにメスは隔離します。

産卵後、朝までにオスが捕食されてしまった場合は、人為的に1日数回卵を湿らせれば、問題なく孵化させられます。

なお、孵化までの日数は約一週間です。

●タガメの幼虫の育て方



タガメの幼虫は、孵化から1ヶ月半の間に五回の脱皮を行い成虫になります。かなりのスピードで成長しますので、それにみあった大量の餌が必要となります。

餌としてもっとも手軽なのが餌用の養殖メダカで、成虫飼育同様に薬抜きしたものを与えます。

幼虫は共食い傾向がきわめて高いため、基本的には個別飼育ですが、一令幼虫にかぎり、あえて同所飼育を行い、共食いを生き残った個体だけを育てると大型個体が作出できます。

少しかわいそうですが、タガメの幼虫は本来共食いをすることで大きくなる生態をもっていますので、自然の摂理と言えるでしょう。

9月頃になると、大きく育った終令幼虫は緑色から茶色にかわり、これが最終の脱皮=羽化の目安です。羽化脱皮は溺れやすいので、羽化の兆候が見られたら、水深を1cmほどに浅くして水草などのつかまる場所も用意してください。

●タガメの越冬のさせ方



秋口に無事に羽化した新成虫は、寒くなるまでにたくさんの餌を食べ、冬眠のための栄養を蓄えますので、食べるだけふんだんに餌を与えてください。

11月下旬になり水温が下がってくると、タガメが不活発になってきますので、餌を止め、暖房のない部屋で冷たくして越冬させます。

野外では水辺近くの土中で越冬しますが、飼育下では水槽でそのまま水中越冬させるほうが無難です。

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