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【水鳥(カモ目・チドリ目・カイツブリ目など一覧)種類図鑑】身近な水辺の鳥類を博物館学芸員が解説



日本で見られる水鳥(カモ目・チドリ目・カイツブリ目)の種類と代表種の生態を、淡水~汽水生物を専門としている博物館学芸員の筆者がフリー画像をまじえて解説します。

カモ目の水鳥

日本で見られる代表的なカモ目の水鳥

ウミアイサ



ウミアイサは日本には冬季に冬鳥として飛来して越冬します。肉食性が強く、成鳥は主に小魚を捕食します。このほか、雛や若鳥は小型甲殻類も捕食することが知られています。海岸近くの岩のくぼみや藪に巣を作り産卵します。

オオハクチョウ



オオハクチョウは東北地方の太平洋側が主な飛来地となっています(中継地としての北海道にとどまる個体もいます)。分布地では河川や湖沼など淡水域に生息しています。植物食傾向の強い雑食性で、主に水草(根・茎・葉)を食べますが、水生昆虫や甲殻類など小型の底生生物も捕食します。河川や湖沼周辺の草が十分に茂った場所に営巣して産卵します。

オナガガモ



オナガガモはユーラシア大陸北部および北アメリカ北部に分布しており、冬季には日本にも多くの個体が越冬のために飛来します。分布域では湖沼・河川・沿岸部など淡水~海水まで広く生息しています。雑食性で、水辺の植物の種子・水草・貝類を食べます。生息地周辺の草むらに営巣して産卵します。

カリガネ



カリガネはユーラシア大陸に広く分布し、日本には冬鳥として越冬のために飛来します。島根県の宍道湖や宮城県の伊豆沼・長沼などが主な飛来地として有名です。分布域では湿地から草むらにかけて生息する、やや陸生傾向が強い水鳥です。草食性で、主にカヤツリグサ科植物の葉を食べますが、木の葉も食べます。水辺からやや離れた地面の窪みなどに、自身の羽や苔などを使って営巣し産卵します。

カルガモ



カルガモは、東アジアの亜寒帯・温帯・亜熱帯地域に広く分布しており、カモ類としては珍しく渡りをせずに生息地に定着して生活します。一部、北方に生息する個体群は冬季に南に移動することもあります。各生息地では河川・湖沼・湿地など淡水域で生活しています。植物食傾向の強い雑食性で、主に植物の葉や種子を食べますが、水生昆虫や甲殻類・貝類など底生の小型動物も捕食します。一部の個体群は魚食を行うことも知られています。水辺近くの草むらに、枯葉や枯枝を使って皿状の巣を作り産卵します。単独で営巣することもあれば、集団繁殖地(コロニー)を形成する場合もあります。

カワアイサ



カワアイサは日本には冬鳥として九州以北に飛来します。魚食性が強く、潜水して小魚を捕食します。繁殖期は4〜6月で、枯れ葉や枯れ枝を使って地上に巣を作るほか、樹洞を流用する個体もあります。

キンクロハジロ



キンクロハジロは、ユーラシア大陸北部(シベリア・ヨーロッパ)に分布しており、冬季には越冬のため渡りをして南下します。日本では九州以北に飛来し、北海道では一部の個体が留鳥して現地繁殖もしています。分布域では、河川・湖沼など淡水域に生息しています。動物食傾向の強い雑食性で、水草・植物の葉・甲殻類・水生昆虫・貝類・小型両生類・小魚などを食べます。水辺や川の浅瀬に水生植物(ヨシなど)の枯葉を使って営巣し産卵します。

クロガモ



クロガモはシベリアから北ヨーロッパにかけて分布しており、冬季には越冬のため南へ渡ります。日本でも少数ながら東シベリアの個体群が北海道に飛来することが知られており、繁殖の記録もあります。なお、非繁殖期には海水域で生活し、繁殖期には湖沼などの淡水域で生活します。動物食で、甲殻類・貝類・水生昆虫・魚卵などを食べています。水辺(淡水域)の草むらや藪に枯葉を使って営巣し産卵します。

コガモ



コガモは、ユーラシア大陸北部~北アメリカ大陸北部(亜種アメリカコガモ)に広く分布しており、冬季には温帯~熱帯地域に越冬のため渡りをします。日本には全国的に毎年多数の個体が飛来します。また、ごく一部の北海道の個体群は留鳥となり繁殖もしています。分布域では池沼や河川などの淡水域で生活し、市街地の公園などでも普通に見られます。植物食で、水草や水辺の植物の種子・根などを食べます。水辺近くの草むらに枯葉や羽を使って営巣し産卵します。

シノリガモ



シノリガモは、ユーラシア大陸北東部・北アメリカ大陸北西部と北東部に分布しており、日本には越冬のため渡鳥として北海道から東北地方の沿岸部に飛来します。北海道の個体群のごく少数は留鳥して繁殖も行います。非繁殖期には沿岸部(海水域)に、繁殖期には渓流部(淡水域)に生息します。雑食性で、海藻・水草・甲殻類・貝類などを食べます。海水域ではウニ類も捕食することが知られています。渓流付近の岩の割れ目などに営巣しますが、樹洞を利用することもあります。

スズガモ



スズガモは、ユーラシア大陸・北アメリカ大陸の北部に分布しており、日本には全国の沿岸部に越冬のため多数が飛来します。繁殖期には池沼などの淡水域で生息し、越冬期には内湾などの穏やかな海水域で過ごします。貝類を専ら食べる動物食で、貝殻を砕くために発達した砂嚢を持っています。水辺の草むらや岩の隙間に営巣しますが、時にコロニーを形成することもあります。

トモエガモ



トモエガモは、ユーラシア大陸東部に分布しており、日本には冬季に越冬のため、主に本州以南の日本海側に飛来します。主に湖沼や河川などの淡水域に生息していますが、越冬期には海水域で過ごすこともあります。植物食傾向の強い雑食性で、植物の種子や水草のほか、水生昆虫・小型甲殻類・貝類なども食べます。水辺近くの岩の窪みや流木の隙間に営巣して産卵します。

ハシビロガモ



ハシビロガモは、ユーラシア大陸および北アメリカ大陸に分布し、冬季は越冬のため南方に渡りを行います。日本にも多くはないものの飛来し、北海道では繁殖も確認されています。生息地は淡水域ですが汽水域でも見ることができます。植物食傾向の強い雑食性で、種子・植物プランクトンを食べるほか、甲殻類・水生昆虫なども捕食します。水辺近くの草むらや藪に枯葉・枯枝を使って営巣し産卵します。

ヒドリガモ



ヒドリガモは、シベリアのツンドラ地帯に分布しており、冬季には越冬のため南下します。日本にも多くの個体が飛来し、日本で見られるカモ類のなかでも最も普通種です。基本的には淡水域に生息する種ですが、時に干潟など海水域でも生活します。ヒドリガモは草食性で、水面に浮いてきた植物の葉・根・種子・海藻類などを食べていますが、まれに甲殻類や軟体動物も捕食します。水辺近くの草むらや藪に営巣し産卵します。

ホオジロガモ



ホオジロガモは、ユーラシア大陸北部と北アメリカ大陸北部に分布しており、日本には比較的多い個体数が北日本を中心に飛来します。繁殖期は森林帯の淡水域に、非繁殖期は内湾や干潟など汽水~海水域に生息しています。動物食傾向の強い雑食性で、甲殻類・貝類・小型魚類のほかに水草も食べます。樹洞や地面の穴などを利用し、そこに枯葉・枯枝・自身の羽毛を用いて営巣し産卵します。

マガモ



マガモは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布しており、北方の個体群は冬季に南方へ渡りを行い越冬します。日本には全国的に多くの個体群が飛来し、北海道と本州高地では留鳥として繁殖もしています。基本的には淡水域に生息しますが、渡りの途中には海水域でも生活できます。植物食傾向の強い雑食性で、水草・植物の葉・根・種子のほか、甲殻類・貝類や水生昆虫も捕食します。水辺に近い草地に、周囲の草を使って営巣し産卵します。

ミコアイサ



ミコアイサは、ユーラシア大陸北部に分布しており、冬季には日本の九州以北に越冬のため飛来します。少数の個体が北海道では留鳥となり繁殖もしています。淡水性カモ類で、繁殖期・非繁殖期を問わず通年を湖沼などの淡水域で過ごします。動物食傾向の強い雑食性で、小型魚類を中心に甲殻類・水生昆虫・貝類・両生類などを捕食します。このほかに、植物の根・茎・種子も食べます。水辺近くの樹洞に営巣し産卵します。

ヨシガモ



ヨシガモは、東アジアの北部に分布しており、日本には越冬のため冬季に多くが飛来します。また、北海道では一部の個体群が留鳥として繁殖も行っています。繁殖期は淡水域、非繁殖期は内湾などの海水域に移動します。植物食で、植物の種子・葉・茎のほか海藻も食べます。水辺近くの草むらや藪に枯葉を使って営巣し産卵します。

カモ目水鳥の個別解説記事(フリー写真図鑑)

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カイツブリ目の水鳥

日本で見られる代表的なカイツブリ目の水鳥

アカエリカイツブリ



アカエリカイツブリは、ユーラシア大陸北部と北アメリカ大陸北部に分布しており、冬季は越冬のため渡りをして南下します。日本には越冬のために九州以北に飛来し、一部の個体群は北海道で繁殖が確認されています。繁殖には湖沼などの淡水域、非繁殖期には内湾などの海水域で生活します。動物食で、魚類・カエル類・甲殻類・水生昆虫などを捕食します。水辺近くの水生植物を利用して営巣し産卵します。抱卵はペアが交代で行います。

カイツブリ



カイツブリは、ユーラシア大陸南部からアフリカ大陸にかけて分布しており、基本的にはそれぞれの分布域で移動せずに生活していますが、北方に生息する個体群は冬季には南方へ移動します。日本においては、中部地方以南の個体群は留鳥として通年生息し、東北と北海道の個体群は冬に大陸から飛来する渡り鳥となります。それぞれの生息域では淡水域で生活していますが、冬季には海水域で見られることもあります。動物食で小型魚類・甲殻類・水生昆虫・貝類などを潜水捕食します。水辺の植物を流用し、その葉や枝を使って営巣します。抱卵はペアで交代で行います。

カンムリカイツブリ



カンムリカイツブリは、ユーラシア大陸中部に分布しており、日本には九州以北に越冬のため渡りをして飛来します。琵琶湖など一部の地域では留鳥として繁殖していることも確認されています。基本的には湖沼など淡水域を生息場所としますが、非繁殖期(冬季)には内湾などの海水域にも進出します。動物食で、小型魚類・甲殻類・水生昆虫・両生類などを潜水して捕食します。水辺の抽水植物(ヨシやガマなど)をベースとして、そこに枯葉や枯枝を組み合わせて営巣します。抱卵はペアで交代で行います。

ハジロカイツブリ



カンムリカイツブリは、ユーラシア大陸中部と北アメリカ大陸中部に分布しており、日本には冬季越冬のため北海道~九州に冬鳥として飛来します。繁殖期は湖沼などの淡水域で生活しますが、越冬期は内湾などの海水域で過ごします。動物食で、小魚のほか甲殻類・貝類や水生昆虫などを潜水捕食します。水草の繁茂した場所に浮き巣を作り産卵します。抱卵はペアが交代で行います。

ミミカイツブリ



ミミカイツブリは、ユーラシア大陸中部と北アメリカ大陸中北部に分布しており、冬季には越冬のため南下します。日本には特に日本海側に飛来数が多く、沿岸地域で見ることができます。なお、繁殖期は各分布域の淡水域で生活しています。動物食で魚類・貝類・甲殻類・水生昆虫などを潜水して捕食します。水草が水面まで繁茂したような場所に浮き巣を作って産卵します。抱卵はペアが交代で行います。

カイツブリ目水鳥の個別解説記事(フリー写真図鑑)

アカエリカイツブリカイツブリカンムリカイツブリハジロカイツブリミミカイツブリ

チドリ目の水鳥

日本で見られる代表的なチドリ目の水鳥

アジサシ



アジサシは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布しており、日本には東南アジア・オセアニアへの渡りの途中に旅鳥として飛来しますが、ごく一部の個体群は日本国内でも繁殖していることが確認されています。魚食性で、空中から水中へダイビングして小魚を捕食します。水辺の主に砂浜の窪みに枯葉などを使って営巣し産卵します。

コアジサシ



コアジサシは、ユーラシア大陸からアフリカ大陸・オーストラリア大陸にかけて分布しており、日本には旅鳥(夏鳥)として飛来し、繁殖も行います。魚食性で、空中から狙いをつけて水面にダイビングして捕食します。短時間であればホバリングすることも可能です。水辺近くの砂浜(川原や海岸)に窪みを作り産卵します。

ウミネコ



ウミネコは、ユーラシア大陸東部に広く分布しており、日本では留鳥として周年生息しています。ロシア北部などの北方個体群は、冬季には南下して越冬することが知られています。河口・干潟・内湾など海水域で生活しますが、内陸部の淡水域に進出することもあります。動物食で、魚類のほか甲殻類・水生昆虫・両生類なども捕食します。コロニー(集団繁殖地)を形成し、地面の窪みなどに海藻や枯葉を作って営巣し産卵します。

カモメ



カモメは、ユーラシア大陸北部と北アメリカ大陸北部に分布しており、日本には冬鳥として越冬のために飛来します。基本的には河口や干潟など海水域に生息していますが、淡水域まで進出することもあります。雑食性で、小魚・甲殻類・両生類のほか植物の種子や果実も食べます。水辺近くの草原・岩礁帯に集団繁殖地(コロニー)を作り営巣・産卵します。

ユリカモメ



ユリカモメは、ユーラシア大陸北東部に分布しており、冬季には越冬のため東南アジアや東アジアに渡りをします。日本にも多くが冬鳥として飛来します。生息地は海水域にとどまらず、淡水域でも比較的普通に見ることができます。雑食性で、小魚や甲殻類のほか、植物の種子なども食べます。水辺近くの草原に営巣し産卵します。

アオアシシギ



アオアシシギは、ユーラシア大陸北部に分布しており、冬季には東南アジア・オーストラリア・アフリカ大陸に渡り越冬します。日本には春と秋に旅鳥として飛来します。繁殖期は淡水域に、非繁殖期は淡水域〜海水域まで広く生息しています。肉食性で、小魚のほか甲殻類・両生類・水生昆虫などを捕食します。水辺近くの地面に営巣し産卵します。

イソシギ



イソシギは、ユーラシア大陸に広く分布しており、冬季には越冬のため東南アジア・オーストラリア大陸・アフリカ大陸などに渡りをします。日本においては、留鳥として通年見られる主として知られています。主に水田・池沼・河川など淡水域に生息していますが、非繁殖期(越冬期)は干潟など汽水〜海水域にも進出します。昆虫食傾向の強い肉食性で、ユスリカ幼虫をはじめとした各種水生昆虫のほか、甲殻類・両生類・小型魚類も捕食します。水辺近くの草むらに枯れ草などを使って営巣します。抱卵はペアで交替して行うつがいとメスのみが行うつがいとがあります。

オオジシギ



オオジシギは、ロシア南東部から東アジアにかけて分布しており、冬季には越冬のためオーストラリア大陸や東南アジアに渡ります。日本では夏場に見られ(繁殖期)、冬季には南方に移動するため見られなくなります。動物食傾向の強い雑食性で、主にミミズを食べるほか昆虫や植物の種子も食べます。地面に枯れ草などを使って営巣し産卵します。繁殖期にはオスが縄張りを持つことが知られています。

オグロシギ



オグロシギは、ユーラシア大陸の中部に分布しており、冬季にはアフリカ大陸・オーストラリア大陸・インド亜大陸などに渡りをして越冬します。日本では渡りの途中の旅鳥として春と秋に飛来します。繁殖期は淡水域で過ごしますが、非繁殖期は干潟など汽水域にも進出します。動物食で、ミミズやゴカイといった環形動物を中心として昆虫・甲殻類・貝類なども捕食します。水辺近くの地面に営巣し産卵します。

オジロトウネン



オジロトウネンは、ユーラシア大陸北部の寒帯に分布しており、冬季はアフリカ大陸・インド亜大陸・東南アジアに渡って越冬します。日本には渡りの途中の旅鳥として秋に飛来します。基本的には湿地などの淡水域に生息していますが、まれに干潟など汽水域でも見ることができます。動物食で、昆虫類・甲殻類・環形動物などを捕食します。二重巣卵体制というかわった生態を持ち、1シーズンに2回産卵します。1回目の産卵ではオスが抱卵し、2回目の産卵(別のオスとのペア)ではメスが抱卵とします。

キアシシギ



キアシシギは、シベリア東部からカムチャッカ半島にかけて分布しており、冬季は東南アジア・ニューギニア・オーストラリア大陸に渡りを行い越冬します。日本には渡りの途中の旅鳥として春と秋に飛来し、見られる数も多い普通種です。繁殖期はツンドラの湿地など淡水域に生息していますが、非繁殖期は淡水域のみならず干潟など汽水域にも進出します。肉食性で、甲殻類や昆虫類を捕食します。基本的には地表に営巣しますが、樹上に営巣した例も知られています。また、他の鳥の放棄した巣を再利用することもあります。

キョウジョシギ



キョウジョシギは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸のツンドラ地帯に分布しており、冬季はアフリカ大陸・南アメリカ・東南アジア・オーストラリア大陸など南方に渡りをして越冬します。日本には渡りの途中で旅鳥として春と秋に多数の個体群が飛来します。水辺の石や流木などをひっくり返して、その下に潜む甲殻類・昆虫類などを捕食するという変わった習性を持っています。また、二枚貝を開いて身を食べることも知られています。地表のくぼみに営巣し産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

キリアイ



キリアイは、ロシア北部やスカンジナビア半島など北極圏に近い寒帯に分布しており、冬季は中東・アフリカ大陸・東南アジア・オーストラリア大陸北部などに渡りをして越冬します。日本には渡りの途中に旅鳥として秋に飛来し、まれに春にも見ることができます。動物食で、主に貝類と甲殻類を餌にしています。地表のくぼみに営巣し産卵します。抱卵はペアで行いますが、育雛はメスのみが行います。

クサシギ



クサシギは、ユーラシア大陸の中部から北部にかけて広く分布しており、冬季には越冬のためヨーロッパ・アフリカ大陸・インド亜大陸・東南アジア・東アジアなどに渡ります。日本には旅鳥として春と秋に飛来し、関東以南ではそのまま越冬する個体群も多く見受けられます。淡水域を中心として生息しており、干潟など汽水域に進出することもあります。動物食傾向の強い雑食性で、甲殻類・貝類・水生昆虫のほか植物の種子も餌として利用します。地上のくぼみや倒木の陰に営巣し産卵します。他の鳥の古い巣を再利用することもあります。

タカブシギ



タカブシギは、ユーラシア大陸北部に分布しており、冬季は越冬のためアフリカ大陸・インド亜大陸・東南アジア・オセアニア・オーストラリア大陸など南方に渡ります。日本には渡りの途中に旅鳥として春と秋に飛来します。淡水性が強く、繁殖期・非繁殖期にかかわらず海水域に進出することはほとんどありません。動物食で、主に水生昆虫類と貝類を捕食します。基本的には地面に営巣しますが、樹上にある他の鳥の古い巣を再利用することもあります。

タシギ



タシギは、ユーラシア大陸北部から中部にかけて広く分布しており、越冬のためアフリカ大陸・南ヨーロッパ・インド亜大陸・東南アジア・東アジアなどに渡りをします。日本には春と秋に多数か旅鳥として飛来しますが、中部以南ではそのまま留まり越冬します。淡水性が強く、繁殖期も越冬期も湿地などの淡水域で生活します。肉食傾向の強い雑食性で、節足動物や甲殻類を中心として植物の種子も食べます。乾いた地面を好んで営巣し産卵します。抱卵と育雛はメスのみが行います。

ツルシギ



ツルシギは、ユーラシア大陸北部の北極圏付近に分布しており、冬季は渡りをして南ヨーロッパ・中東・アフリカ大陸・インド亜大陸・東南アジアなど南方で越冬します。日本には春と秋に旅鳥として飛来し、ごく一部の個体群はそのまま越冬することもあります。繁殖期は淡水域で生活し、非繁殖期は淡水域を中心として河口や干潟など汽水域にも進出します。動物食で、甲殻類・水生昆虫・貝類を捕食します。地上のくぼみなどに営巣し産卵します。抱卵と育雛はオスが行います。

トウネン



トウネンは、シベリア東部やアラスカ西部の北極圏近くに分布しており、冬季には越冬のため東南アジア〜オーストラリア大陸にかけての南方地域に渡りをします。日本には春と秋に渡り途中の旅鳥として多くが飛来します。主に淡水域で活動しますが、干潟など汽水域にも進出します。動物食で、ゴカイ類・水生昆虫・小型甲殻類などを捕食します。地面のくぼみなどに営巣し産卵します。

ハマシギ



ハマシギは、ユーラシア大陸および北アメリカ大陸の北部・北極海周辺に分布しており、冬季は各大陸を南下して越冬します。日本には春と秋に渡り途中の旅鳥として数多く飛来します。繁殖地・非繁殖地ともに海岸沿いに生息していますが、大きな湖の湖岸でも見られます。動物食で、ゴカイ類・甲殻類・貝類を捕食するほか、干潟の水表面に発生する有機物の膜(バイオフィルム)も食べます。水辺近くの地面に営巣し産卵します。抱卵と育雛はオスが行います。

ヒバリシギ



ヒバリシギは、シベリアおよびカムチャッカ半島に分布しており、冬季には渡りをして東南アジアやオーストラリア大陸に移動します。日本には渡りの途中に旅鳥として春と秋に飛来します。淡水性が強く、湿地や池沼周りに生息しており、干潟など汽水〜海水域に進出することはほとんどありません。動物食で、淡水の甲殻類・貝類のほか昆虫の幼虫などを捕食します。水辺近くの地面に営巣し産卵します。

ミヤコドリ



ミヤコドリは、北欧・中央アジア・東アジア・カムチャッカ半島に分布しており、冬季は南方に渡りをして越冬します。日本には越冬のための冬鳥として飛来します。沿岸性が強く、淡水域に進出することはほとんどありません。器用に二枚貝を開けて食べることで知られています。このほかに、甲殻類・ゴカイ類も餌にします。沿岸の地面のくぼみなどに営巣し産卵します。

ケリ



ケリは、東アジアから東南アジアにかけて分布しており、北方の個体群は越冬のために南方へ渡りをします。日本においては留鳥として通年見られ、国内で繁殖もしています。湿地や水田周辺など淡水域を中心として生息していますが、干潟など汽水域に進出することもあります。動物食で、ミミズやカエルのほか水生昆虫・甲殻類・小型魚類なども捕食します。水辺近くの地面に枯れ草などを使って営巣し産卵します。

コチドリ



コチドリは、ユーラシア大陸の中北部に分布しており、冬季はユーラシア大陸南部やアフリカ大陸に渡りをして越冬します。日本では夏季に繁殖が見られ、一部の地域では冬季もそのまま留鳥として越冬します。淡水域・海水域を問わず水辺で生活しています。動物食で、水生昆虫やミミズを捕食します。特にユスリカ幼虫を好むことが知られています。水辺近くの地面に小石や貝殻を使って営巣し産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

シロチドリ



シロチドリは、ユーラシア大陸中部に広く分布しており、北方の個体群は冬季にアフリカ大陸・インド亜大陸・東南アジアなどに渡り越冬します。日本においては多くの個体群が留鳥として周年生息し、国内で繁殖も行っています。干潟や砂浜など汽水〜海水域の水辺を好みますが淡水域にも進出します。動物食で、ゴカイ・小型甲殻類・水生昆虫などを捕食します。水辺近くの砂・砂礫地のくぼみに営巣し産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

ダイゼン



ダイゼンは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の北部・北極圏に近い地域に分布しており、冬季には越冬のためにアフリカ大陸・オーストラリア大陸・南アメリカ大陸などに渡ります。日本には渡りの途中に旅鳥として飛来しますが、一部はそのまま留まり越冬します。砂浜や干潟など海水域に多く見られますが淡水域にも進出します。動物食傾向の強い雑食性で、主にゴカイを捕食し、このほかにも甲殻類・水生昆虫・植物の種子などを餌にします。水辺近くの地面に枯れ枝や小石を使って営巣し産卵します。

タゲリ



タゲリは、ユーラシア大陸の中緯度地域に分布しており、越冬のために冬季はユーラシア大陸南部に渡ります。日本には関東以南に越冬のための冬鳥として飛来し、一部の個体群はそこに留まり繁殖も行います。基本的には淡水域に生息していますが、干潟など汽水域に進出することもあります。動物食で、特にミミズを好んで捕食します。このほかにも水生昆虫や甲殻類も餌にします。水辺近くの地面にくぼみを掘り、そこに枯れ葉などを敷いて営巣・産卵します。抱卵はメスのみが行います。

ムナグロ



ムナグロは、シベリアとアラスカのツンドラ地帯に分布しており、冬季はインド・オセアニア・オーストラリアなどの南方に渡り越冬します。日本には渡りの途中に旅鳥として春と秋に飛来します。淡水湿地〜汽水干潟と幅広い環境に生息しています。動物食で、水生昆虫や小型甲殻類などを捕食します。

チドリ目水鳥の個別解説記事(フリー写真図鑑)

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ツル目の水鳥

日本で見られる代表的なツル目の水鳥

オオバン



オオバンは、ユーラシア大陸に広く分布しており、冬季にはアフリカ大陸やオーストラリア大陸といった南方まで越冬のために渡りをします。日本では留鳥として生息しており、季節によって国内で移動をしています。基本的には淡水域で生活します。草食傾向の強い雑食性で、主に水草を食べるほか水生昆虫や甲殻類なども捕食します。水生植物の茂みに営巣し産卵します。抱卵・育雛ともにペアで行います。

タンチョウ



タンチョウは、東アジアに分布しており、日本では北海道に生息しています。湿原・湖沼・河川といった淡水域で生活します。雑食性で、魚類・甲殻類・貝類・水生昆虫のほか水生植物の茎や葉、樹木の果実などもも餌にします。水辺や浅瀬に枯れ枝などを組み合わせた大型の巣を作り産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

ナベヅル



ナベヅルは、東アジアの北部に分布しており、冬季になると越冬のために東アジア南部へ渡ります。日本には冬鳥として飛来します。淡水域を中心として干潟などの汽水域にも進出し生活しています。雑食性で、甲殻類・昆虫類のほか植物の根も食べます。湿原内に営巣し産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

バン



バンは、オセアニアにを除く世界中の温帯〜熱帯にかけて分布しており、北方の個体群は冬季に渡りを行い越冬します。日本では留鳥として通年見られ、国内で繁殖もしています。湖沼・池沼・河川など淡水域に生息しています。雑食性で、甲殻類・水生昆虫・植物の種子などを餌にしています。水辺の水生植物の茂みに営巣し産卵します。

マナヅル



マナヅルは、東アジア北部に分布しており、冬季には東アジア南部へ渡り越冬します。日本には冬鳥として飛来します。基本的には湿原などの淡水域に生息していますが、越冬期は干潟などの汽水域にも進出します。雑食性で、小魚・カエル・甲殻類のほか植物の根・茎・種子なども食べます。水辺の背の高い植物の繁茂する場所に営巣し産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

ツル目水鳥の個別解説記事(フリー写真図鑑)

オオバンタンチョウナベヅルバンマナヅル

ペリカン目の水鳥

日本で見られる代表的なペリカン目の水鳥

アオサギ



アオサギは、ユーラシア大陸からアフリカ大陸にかけて分布しており、北方の個体群は越冬のために冬季は南下します。日本には周年生息しており、国内で繁殖もしています。基本的には池沼や河川などの淡水域に生息していますが、時に干潟など汽水域にも進出します。肉食性で、魚類・甲殻類・水生昆虫など水生生物を中心として爬虫類や他の鳥の雛なども捕食します。樹上に枯れ枝を使って営巣し産卵します。同一ペアは補修をしながら数年にわたり同じ巣を使うことが知られています。抱卵と育雛はペアで行います。

オオヨシゴイ



オオヨシゴイは、東アジアに分布しており、冬季は東南アジアに渡りをして越冬します。日本では夏季に繁殖をしています。淡水域の湿った草原に生息しており、汽水〜海水域に進出することはありません。動物食で、小魚・カエル・甲殻類・水生昆虫などを捕食します。草原に枯れ葉を積み重ねた巣を作り産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

ゴイサギ



ゴイサギは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の中部に生息しており、冬季はアフリカ大陸・インド亜大陸・東南アジア・南アメリカ大陸などに渡りをして越冬します。日本では留鳥として周年見られ、国内で繁殖もしています。淡水域〜汽水域〜海水域に広く生息しています。動物食で、魚類・甲殻類・両生類・水生昆虫などを捕食します。樹上に枯れ枝などを組み合わせた巣を作り産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

コサギ



コサギは、ユーラシア大陸の熱帯〜温帯地域に分布しており、北方の個体群は冬季に南下して越冬します。日本では留鳥として通年見られ、繁殖もしています。淡水域を中心として干潟や海岸など海水域にも進出します。動物食で、魚類・甲殻類などを捕食します。樹上に枯れ枝などを組み合わせた巣を作り産卵します。

ササゴイ



ササゴイは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に分布しており、冬季には越冬のためにアフリカ大陸・南アメリカ大陸・南〜東南アジア・オセアニアに渡りをします。日本は分布域になっているため夏季に繁殖し、冬季には九州以南まで南下します。淡水性が強く、池沼・河川・湿地などに生息しており海水域に進出することはほぼありません。動物食で、魚類のほか甲殻類や両生類も捕食します。樹上に枯れ枝などを組み合わせた巣を作り産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

ダイサギ



ダイサギは、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に広く分布しており、北方の個体群は冬季には南下して越冬します。日本では一年を通して見ることができます。淡水性が強く、湖沼・池沼・河川周辺に生息しています。動物食で、魚類・甲殻類のほか爬虫類や両生類も捕食します。樹上に枯れ枝などを組み合わせた巣を作り、集団で営巣(コロニー)します。

チュウサギ



チュウサギは、アフリカ大陸・南〜東南アジア・オセアニアにかけて分布しています。日本には夏季に夏鳥として飛来します。淡水性〜汽水域に適応しており、マングローブ帯でも見られます。動物食で、魚類や甲殻類を捕食します。樹上に枯れ枝などを組み合わせた巣を作り産卵します。抱卵と育雛はペアで行います。

ヨシゴイ



ヨシゴイは、南アジア〜東南アジア〜東アジアおよびオセアニアに分布しており、日本には夏季に夏鳥として飛来し繁殖します。淡水性が強く、湿原や湿地・池沼などに生息しています。動物食で、魚類・甲殻類のほか昆虫や両生類も捕食します。

ペリカン目水鳥の個別解説記事(フリー写真図鑑)

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