霊長目ヒト科の生態(分布・餌)について、生物学の博物館学芸員である筆者がフリー画像写真をまじえながら解説します。
霊長目ヒト科とはどんな生き物?
ヒト科は、哺乳類サル目(霊長類)の分類群のひとつ。ヒト亜科(ヒト属、チンパンジー属、ゴリラ属を含む)とオランウータン亜科で構成される。旧来はヒトの種を分類するための分類項であったが、ヒトを中心とする古生物学の進展と、DNA解析の進展の結果、ヒトと類人猿、特にゴリラ属・チンパンジー属の遺伝距離は小さいことが分かり、両者もヒト科に分類される意見が主流を占めることとなった。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/霊長目ヒト科
霊長目ヒト科の分類
ヒト科はまずオランウータン亜科とヒト亜科に分けられます。
ヒト亜科はゴリラ亜族とヒト亜族に分かれ、ヒト亜族はチンパンジー属とヒト属に分かれます。
このことから、ヒトとの類縁的な距離はヒト>ボノボ・チンパンジー>ゴリラ>オランウータンであることがわかります。
霊長目ヒト科の餌
霊長目ヒト科はヒトを含め植物食傾向の強い雑食性で、主に木の実や果物(炭水化物)と動物質(タンパク質・脂質)を摂取しています。
霊長目ヒト科の種類(現生種)
霊長目ヒト科の全現生種は以下の8種です。
①オランウータン|Pongo Pygmaeus
②ニシゴリラ|Gorilla. gorilla
③ヒガシゴリラ|Gorilla. beringei
④チンパンジー|Pan troglodytes⑤ボノボ|Pan Paniscus
⑥ヒト|Homo sapiens
※分類によってはオランウータンを3種に分ける場合もあります。
これでは、次の項目からはこれら現生6種類と代表的な化石種をご紹介していきます。
①オランウータン|Pongo Pygmaeus
オランウータンは、東南アジアのスマトラ島とボルネオ島にのみ生息する類人猿で、ヒト科オランウータン亜科オランウータン属に属しています。
霊長類ヒト科としては最も古い形質の種類です。
最新の分類では、以下の3種に分けられます。
P. abelii|スマトラオランウータン
P. pygmaeus|ボルネオオランウータン
P. tapanuliensis|タパヌリオランウータン
オランウータンは東南アジアのスマトラ島とボルネオ島に分布しており、その分布域は上図のとおりです。
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②ニシゴリラ|Gorilla. gorilla
ゴリラはアフリカ大陸中央部に、東西に二つの生息地があり、東側のものをマウンテンゴリラ(ヒガシゴリラ)、西側のものをローランドゴリラ(ニシゴリラ)として二種にわけられています。
黄色:ヒガシゴリラ(学名:Gorilla beringei)
橙色:ニシゴリラ(学名:Gorilla gorilla)
ゴリラは上図のように、アフリカ大陸中央部の東西に分断されて分布しています。
③ヒガシゴリラ|Gorilla. beringei
ゴリラは植物食の傾向が強い雑食性で、主に果実・植物の葉を食べるほか、アリ・シロアリをはじめとした昆虫なも食べます。
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④チンパンジー|Pan troglodytes
チンパンジーはもっともヒトに近い現生霊長目です。
チンパンジーの分類は長らく混乱していましたが、現在では1種4属であるとされる意見が最有力です。その亜種は以下のとおりです。
チュウオウチンパンジー|Pan troglodytes troglodytes
ナイジェリアチンパンジー|Pan troglodytes ellioti
ヒガシチンパンジー|Pan troglodytes schweinfurthii
ニシチンパンジー|Pan troglodytes verus
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⑤ボノボ|Pan Paniscus
ボノボはピグミーチンパンジーとも呼ばれるチンパンジー属の1種で、チンパンジーよりも直立歩行をすることが多く、より人間に近いのではないかと推測されています。
⑥ヒト|Homo sapiens
現生人類は、厳密には亜種である絶滅種のホモ・サピエンス・イダルトゥ(学名:H. s. idaltu)と区別するために、ホモ・サピエンス・サピエンスと呼ばれます。
サル目の種類としては非常に大型の部類で、ゴリラ・オランウータンに次ぐ三番目の巨大種です。
本種の特徴的な行動として以下のようなものがあります。
完全直立二足歩行をする
火を使う
文字を使用する
体毛がほとんど無い
本種は火を使い、さらには道具(住居・舟など)を作れるためさまざまな環境に適応が可能で、海洋と極地を除くほぼ全ての陸地に分布しています。
次の項目からは、絶滅した主なヒト属(Homo属)をご紹介していきます。
フローレス人|Homo floresiensis(絶滅種)
フローレス人はインドネシア・フローレス島で化石が発見された小型種で、身長1m程度でした。5万年前まで生存していたと考えられています。
ネアンデルタール人|Homo neanderthalensis(絶滅種)
ネアンデルタール人はユーラシア大陸西部(主にヨーロッパ)に分布していた絶滅種で、現生人類よりも頑丈な身体つきをしていました。火と道具を使い、埋葬の儀式も行っていたことから現生人類と変わらない知能を持っていたと考えられています。
最新のゲノム解析によると、現生人類の中にはネアンデルタール人の遺伝子が数パーセント含まれていることから、ホモ・サピエンスの派生種で混血によって現生人類に混じっていったという説も唱えられています。