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【ハリモグラ生態&種類図鑑】卵から生まれた赤ちゃんを母乳で育てる原始的哺乳類



ハリモグラの生態(分布・餌・寿命・繁殖など)について、生物学の博物館学芸員である筆者がフリー画像写真をまじえながら解説します。

ハリモグラとはどんな生き物?

ハリモグラ(学名:Tachyglossus aculeatus)は、単孔目ハリモグラ科ハリモグラ属に分類される単孔類。本種のみでハリモグラ属を構成する。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ハリモグラ

ハリモグラの分布



ハリモグラはオーストラリア全土(タスマニア島含む)およびニューギニア島南東部に広く分布しています。生息環境もある程度の幅があり、岩石地・森林・山地・砂地などに生息しています。

※ハリモグラの分布域は図中赤色

ハリモグラの餌


ハリモグラの餌は土のなかのシロアリやアリです。写真のように口吻の先端にある餌の匂いを感じる感覚器を使ってアリやシロアリの場所を見つけ、前脚を使って土を掘り、長い舌を差し込んで餌を舐めとります。

ハリモグラはとても頑丈な生き物で、餌さえ見つけて食べることができれば、乾燥地から熱帯雨林までどこでも生きていくことができると言われています。

実際、とても繁栄しており、人間のいる農耕地の周辺でも普通に見かけることができます。

ハリモグラの繁殖

哺乳類なのに卵から赤ちゃんが生まれる

ハリモグラは哺乳類ですが、とても原始的な種類なので赤ちゃんを産むのではなく卵を産みます。

メスは繁殖期になると子育てのための穴を掘り、そのなかで1個だけ卵を産み、その卵は育児嚢のなかで温められます。

卵が孵化するまでに約10日間かかり、孵化したわずか0.3gの赤ちゃんは、そのまま育児嚢のなかにある乳腺に吸い付き、母乳を飲んで育ちます。

生後2ヶ月ほどで赤ちゃんのトゲが発達し始め、その頃に赤ちゃんは育児嚢から出てきます。その後も生後約200日までは母乳を飲みます。

ハリモグラのトゲ



ハリモグラの和名の由来にもなっているトゲは、毛が進化して硬く針状になったものです。外的に遭遇するなど危険を感じるとハリモグラは丸まってトゲを立てて身を守ります。

ハリモグラの種類

ハリモグラ(Tachyglossus aculeatus|ハリモグラ属)には、別属(Zaglossus属)の違う種類が3種類います。

ミツユビハリモグラ|Zaglossus bruijnii



ミツユビハリモグラはニューギニア島西部(分布図・青)に分布するハリモグラの一種で、アリやシロアリを食べるハリモグラとは違って土中のミミズを食べます。このため、口吻はさらに長い形状をしています。

ヒガシミツユビハリモグラ|Zaglossus bartoni



ヒガシミツユビハリモグラはニューギニア島の中央部(分布図・緑)に分布しています。ミミズを主食にしていますが、それ以外にもダニや小さな昆虫も食べます。針(トゲ)が少なく、身体の大部分が毛皮で覆われているのが特徴です。

アッテンボローミユビハリモグラ|Zaglossus attenboroughi



アッテンボローミユビハリモグラはニューギニア島の北部のごく限定的な場所(熱帯高山地帯)にだけ生息しています(分布図・黄色の点)。
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